売掛先への無断連絡・信用損失
売掛債権を売却するファクタリングでは、売掛先に売却を知らせるかどうかが大きな問題になります。
事前に売却を知らせているケースでは何ら問題は生じませんが、もしも知らせないまま売却して事後的にその事実が伝わってしまった場合には大きな信用損失になってしまいます。
しかも、売掛債権を売却する売掛先というのは納入企業にとって関係の深い取引先である場合が多いため、このような信用の損失は非常に深刻な事態を招くことになってしまいます。
このページでは、そんな売掛先への無断連絡・信用損失について紹介していきたいと思います。
ファクタリングの種類
ファクタリングと一口に言っても、その方法には大きく分けて2つの種類があります。
1つは2社間ファクタリング、そしてもう1つは3社間ファクタリングです。
両者ではそれぞれに異なる点がありますので、ここで簡単に説明します。
2社間ファクタリング
読んで字のごとく、2社間で契約を取り交わしてファクタリングを行うのがこの形式です。
ここで言う2社とは、納入企業(売掛債権を売却する会社)とファクタリング業者(売掛債権を買い取る会社)のことを指します。
つまり、売掛先の企業はこの取引に介在しないということになります。
ですので、取引先の企業から事前に同意を得る必要はありません。
ただし、譲渡債権登記の手続きは必要になります。
3社間ファクタリング
2社間ファクタリングとは違い、取引先の企業を含めた3社で行われるのがこの形式です。
3社間ファクタリングでは、まずファクタリング業者に申し込みを行った上で、売掛先から売掛債権売却に対する同意を取り付けます。
そして、同意が得られればそれを同意書にまとめ、これを下敷きにして契約書を作成します。
3社間ファクタリングが2社間ファクタリングと大きく異なるのは、売掛先が売却の事実を知っているかどうかというところにあります。
2社間の場合には、売掛債権の売却を売掛先の企業が知ることはありません。
一方、3社間の場合には売掛先も契約の当事者となりますので、当然ながら売却の事実を知ることになります。
売掛先への無断連絡
数あるファクタリング業者の中には、売掛先に対して売掛債権の売却を無断で知らせる会社が存在します。
無断連絡が行われることで問題が生まれるのは、2社間ファクタリングを行うケースにおいてです。
3社間ファクタリングでは初めから売却の事実を売掛先に知らせるため、こうした問題は生まれません。
売掛先への無断連絡には、基本的に次の2つのパターンがあります。
1つは、ファクタリング業者が2社間ファクタリングを3社間ファクタリングと勘違いして売掛先に知らせてしまうパターンです。
このケースでは、当然ながらファクタリング業者に無断連絡を行う意図はありません。
そして2つ目は、ファクタリング業者が意図的に売掛先に無断連絡を行うというパターンです。
このケースが起こるのは、契約成立の直前などに納入企業が契約を取りやめた場合などです。
いわば、納入企業に対するファクタリング業者の報復として無断連絡が行われるわけです。
また、このパターンの無断連絡を行うのはほとんどが悪徳業者であるということも重要な事実です。
このように、売掛先への無断連絡には意図的なものとそうでないものの両方があるわけですが、どちらのパターンにも共通しているのは売掛先からの信用損失につながるという点です。
売掛先からすれば、売掛債権の売却を行うということは納入企業から信用されていないということとほとんど同じ意味ですから、
もしも無断連絡が行われてしまった場合には売掛先からの信用損失は避けられません。