
ファクタリングが一般的な資金調達になるにつれて、ファクタリング会社の母数も増加しました。それに伴い、不当な料金を巻き上げんとする"悪質業者"の出現も見受けられましたが、逆にファクタリング利用企業が"悪質な利用者"になってしまう危険性も懸念されています。
ファクタリングは、利用目的に応じて大きく分けて2種類の方法が選択できます。
ファクタリング利用企業、ファクタリング会社、売掛金を発行した取引先の3社で行う安全性の高い3社間ファクタリング、そして売掛金を発行した取引先にファクタリングの事実が知られたくない場合に用いる2社間ファクタリングです。
一般的には3社間ファクタリングは債権回収に対しての安全性が高いとされており、手数料も低い割合に設定されています。
逆に2社間ファクタリングは売掛金を発行した取引先を含めない分、手数料が高く、債権に対しての安全性も低くなっています。
そして、2社間ファクタリングにおける安全性の隙を利用して同時に2社以上で買取を行うという信用に反する行為が債権の二重譲渡と言われる利用者側の違法行為です。
どちらかの会社、もしくはどちらの会社の手にも債権が行き渡らないという事態が起こり得る二重譲渡は「詐欺罪」に当てはまる立派な違法行為になります。
酷い場合は三重やそれ以上の多重譲渡を引き起こしてる場合もあり、ファクタリング会社が強く警戒している行為になっています。
二重譲渡はファクタリング会社にとって恐ろしい違法行為ですが、ファクタリング利用企業により起こる可能性のあるリスクは二重譲渡だけに留まりません。
売掛金という目に見えない資産は、取り扱いに細心の注意を払う必要があります。
過去には、「そもそも発生してない売掛金をファクタリングにより買い取らせていた」という事例もありました。
普通だったらあり得ない状況ですが、ファクタリング利用会社が取引先と共謀してあたかも売掛金が発生しているかのように偽装するパターンが取られたこともある実例になっています。
二重譲渡が行われると、買取を行なった際に発生する費用を回収する事ができないため、ファクタリング会社は最も恐れるべきリスクの1つであると考えています。
しかし、債権を「登記」することで、誰に所有権があるか法的に主張することができます。ファクタリング会社によっては2社間ファクタリングにおける登記を必須としている場合もありますので、違法行為は簡単に暴かれてしまうことでしょう。
ファクタリングは利用企業側にも悪質利用者になってしまうリスクがあります。
しかし、架空債権や二重譲渡はすぐに判明してしまうので、債権がない場合は違法行為に手を染めず、素直に他の手段で現金を借りることを検討してはいかがでしょうか。